【旬のうまい魚を知る本】 >
▼イイダコは白くてつるんとしたものが大好き

東京湾では遊漁船に乗ってのイイダコ釣りが盛んだ。これは道具からして愉快だ。ハリとオモリの付いた羽子板状の板に、疑似餌としてなんとラッキョウを凧糸でしばるのである。短いサオを使い、船から少し遠目に仕掛けを投入して糸ふけを取り、あとはただ待つだけ。じわーっとしたアタリがあれば、大きく合わせてすばやくリールを巻く。疑似餌にはラッキョウのほか、白い陶器や豚肉の脂身なども使われる。イイダコというのは、白くてつるんとしたものが好みで、それが目の前にあると、つい抱きつきたくなるらしい。そんな変わった習性のために一生を終えてしまうなんて、ちょっとかわいそうな気もする。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070240 |