▼本場のいけんだ煮味噌の作り方
イセエビの食べ方は、刺身、ゆでる、蒸す、焼く(鬼殻焼き)、煮る(具足煮)、味噌汁と多いのに、これを材料にした郷土料理は全国でも案外と少ない。それでよけいに須崎の漁師料理「いけんだ煮味噌」がきわだってくる。須崎の漁師のおかみさんによると「漁に出るときにご飯と味噌だけを持っていき、いけんだ煮味噌をおかずにして昼食をとったといわれています。爪木崎のいけんだ(池の田)とよばれた場所でよく焚火をして作ったことから、こう呼ばれるようになったんですよ」。なんと豪華な昼食ではないか。
須崎の漁師のおかみさんによると、いけんだ煮味噌の作り方は大ざっぱでよろしいらしい。細かな決めごとよりも、新鮮な魚介と野菜で勝負する料理なのだ。鍋に水を張って火にかけ、サザエ、イセエビ、魚、シイタケ、ダイコン、ニンジンの順に入れ、続いてエノキダケ、ハクサイ、長ネギ、シュンギク、ワカメを加える。煮立ったところで、味噌を入れてできあがりだ。こんな贅沢な鍋がうまくないはずがない。須崎に行ったら民宿で注文するとよい。
| 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070164 |