北京、四川、広東、上海、味はそれぞれ
中国料理を東西南北4つの地域に分けたときの、それぞれの特徴についてお話ししましょう。まず北の代表、北京料理から。国都である北京は北の都の地名が示すように冬が厳しい土地柄。米の生産量は少なく、小麦粉などを使う粉物や豆製品をよく食べます。宮廷料理のように洗練された料理もありますが、なんといっても有名なのが北京ダック、北京烤鴨ですね。餌をたくさん食べさせてまるまると肥らせた家鴨の丸焼きで、「カオ(烤)」は「焼く」の意。羊肉のしゃぶしゃぶ、?羊肉も北京の名物料理です。
西の代表は四川料理。赤とうがらしのピリッと辛い味に、舌がしびれそうな花椒が加わった刺激的な味つけが特徴で、麻婆豆腐や担担麺が日本でもお馴染みですね。もっともこれは戦後、陳建民さんが日本に広めた料理で、戦前は私も知りませんでした。以前訪れた四川の元祖麻婆豆腐の店では、炊きたてご飯の上にどっさりのせたどんぶりめしで味わいました。
南の広東、福建などは気温が高く、米も二期作で豊かな土地柄。特に広東は外国船の出入りもあって、酢豚にパイナップルを入れたりケチャップを加えたりしています。日本をはじめ外国で中国料理といえば広東料理店が多いですね。
東の代表は上海料理。豚バラ肉の角煮、東坡肉はご飯によく合う甘辛味です。カリッとした上海焼きそばは私の好物だし、晩秋から冬にかけての上海蟹は毎年、首を長くして待ちかねる美味です。
| 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の中国料理」 JLogosID : 14071184 |