庶民の味、ラーメンとギョーザ
私たちにお馴染みの庶民的な中国料理といえば、まずラーメンですね。最近は「ラーメン」といっても中国本土で通じるようになりましたが、日本から始まった言葉です。漢字で書くと拉麺。これは中国では麺のことです。私も中国本土で作り方を教えてもらいましたが、小麦粉に水を加えてこねてまとめたものを細く手で伸ばして1本を2本にして折りたたみ、2本を4本に、4本を8本に、8本を16本にと引っ張っては細く伸ばした麺のことを拉麺と呼びます。これにスープを加えたものが湯麺で、湯はスープを意味します。
戦前、私が子どものころは支那そばといって屋台を引いて売っていました。片仮名のラーメンという言葉が定着したのは昭和33年にチキンラーメンという名でインスタントラーメンが名乗りをあげてからのこと。世界に広がって現在ではインスタント・ヌードルと呼ばれています。
次はギョーザです。餃子は点心の一つ。小麦粉に水を加えてこねた薄い皮でひき肉とキャベツや白菜などの具を包んで焼いた焼きギョーザが日本では好まれますが、中国ではゆでて食べる水ギョーザが一般的です。ほかに蒸しギョーザ、焼きギョーザなどもあるし、中身も牛肉や鶏肉、えびなど多種。似たものに小龍包がありますね。熱々を口に入れるとピューッと熱い肉汁がとび出します。不思議に思っていたこの作り方も中国で知りました。豚肉を煮込んで冷やし、固まった肉汁(コラーゲンですね)をひと口大に切って小麦粉の皮で包んで蒸します。コロンブスの卵ではないけれど、わかってみると“なぁーんだ”と納得します。
| 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の中国料理」 JLogosID : 14071185 |