【東京五つ星の魚料理】すし > 台東区
すし游
【すしゆう】
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江戸前が主人の掌から客の手へ
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靴を脱いで店に上がれば、カウンター席の木の床は床暖房。分厚い檜の付け台に造り付けのネタケースは氷冷庫。床暖房にしたのは、エアコンの風がタネに当たるのがイヤだから。氷冷庫にしたのは、タネがほどよく冷えて、適度な湿気も保てるから。ここまでタネを大事にする主人・岡林睦生さんは、歯切れよい語り口と端正な高座姿で人気を呼んだ古典落語の江戸っ子噺家・古今亭志ん朝に風貌がよく似ている。目の前のみごとな檜一枚板の付け台、カウンター。そう、ここは言葉どおり、主人の檜舞台だ。
人肌、それにふっくら握った空気が逃げないうちがいいからと、主人はカウンターでは、すしを掌にのせて差し出す。タネはすべて仕事がしてあるから、客は指でつまんで口へぽいと放り込むだけ。このシンプルさ、すし飯のほどよい温かさ。これが江戸前だったんですねぇ。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の魚料理」 JLogosID : 14071055 |