【東京五つ星の肉料理】牛肉料理 > 横浜市
牛鍋 荒井屋 本店
【ぎゅうなべ あらいや ほんてん】

一つの料理にさまざまな肉

通称親不孝通り、ピンク系の店が軒を接する一帯にあってただ一軒、昭和30年ごろ建築の純日本建築が、背筋をピンと張った頑固な父のように誇り高く、かつ温かな気を放って建っている。港がすぐ前の、いかにも横浜らしい立地の万国橋にしゃれた支店があるが、それでも本店を指定する予約客が多いのは、猥雑な雰囲気に負けないこの風格に惹かれてのことか。
黒毛和牛の仙台牛を中心に基本的に1頭買いし、さばいた肉を取り寄せる。だから鍋でもさしみでも、さまざまな部位を味わえるのが特徴だ。牛鍋には何種類かの肉が盛られ、牛さしみの霜降り肩バラは厚く甘く、脂たっぷりで肉々しい牛煮込みの頬肉は、味にふっくらふくらみがある。
店は明治28年(1895)に当地で創業。現在はオーナー兼女将の荒井順子さんが、4代目だったご主人の跡を継いで横濱料理・荒井屋の暖簾を守っている。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070896 |