【東京五つ星の肉料理】豚肉料理 > 渋谷区
とんかつ 武蔵(閉店)
【とんかつ むさし】

高温から低温へ、二度揚げのかつ

渋い造りの店は、広い恵比寿GPタワーの地下にあって初めての人は迷いがちだが、探し探し訪ねる値打ちは十分にある。
かつ用の肉は保水性が高く脂身がしっかりした鹿児島OXの餅豚、鹿児島黒豚など。パン粉は目の粗さほかいろいろ注文をつけた別注品。この肉とパン粉をベースに、太白ごま油とコーン油を混ぜた揚げ油で、さまざまなかつを揚げ分ける。
百匁かつは、一番人気を誇る餅豚ロースかつの特別バージョンだ。鹿児島OXのロースをまず高温で、次に低温の油に移してゆっくり蒸らし揚げる。この間約20分。「肉が自分の水分で自分をふっくら蒸す感じ。やわらかく、しかも肉本来の味が逃げないんです」と、店長兼調理担当の山本源さん。油から上げて少し蒸らし、揚げ油に浸けて熱したかつ切り包丁を、肉の断面に軽く押し当てるようにして切る。切り口を熱して肉汁をしっかり閉じ込めるためだ。肉はみっしりと厚く、あふれる肉汁はまるでステーキのよう。肉食の幸せを満喫できる豪奢な一品。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070867 |