【東京五つ星の肉料理】豚肉料理 > 中央区
煉瓦亭
【れんがてい】

やさしい味と応対が心にしみる

明治28年(1895)創業、昭和7年(1932)からご当地に店を構える銀座きっての超有名老舗洋食店。なのに初めての客でも心からくつろげる、この温かさ、居心地のよさはどうだろう。気取らず人当たりよく、しかも上品。ガス灯通りに面して窓を大きく取った2階客室は、壁の照明といい曲げ木の椅子といい、BGMに流れるスイングジャズといい、甘く懐かしい昭和クラシックそのもの。こんな部屋で、創業のころと変わらない、いわば人肌の料理の数々を楽しめるのはうれしい。
明治32年に初代が創案した、看板のポークカツレツに使うのは、繊維が細く脂肪含有量がほどよい相模豚だ。肉はさっくりと歯切れよく、ほのかな甘さが舌にしみる。木の葉をかたどったメンチカツレツのふっくら甘い身と、微かに鼻に抜けるナツメグの香りの鮮烈さ。1週間かけて作るハヤシライスのデミグラスソースは、匂いも味もどこかほのぼのと懐かしい。好みのひと皿で、雰囲気と味との上質なアンサンブルにひたりたい。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070810 |