日本人好みに進化した牛肉料理あれこれ
日本人が牛肉を食べはじめたのは文明開化の明治時代。西洋に追いつけということで政府が奨励し、豆腐などと一緒にしょうゆや砂糖で調味して食べたのがすき焼きです。同じ鍋物でも、最近人気のしゃぶしゃぶは戦後生まれで、原点は北京の?羊肉(シュアンヤンロウ)。私も北京で食べましたが、羊肉を使い、薬味やたれも違います。牛肉を材料にし、ごまだれやポン酢で日本人好みのあっさり味に仕立てたしゃぶしゃぶは、肉の脂肪が抜けるという点でヘルシーでもあります。いずれにしても肉食の歴史が浅い日本人の知恵といえます。
牛肉といえばステーキですが、これをしょうゆと砂糖で味つけしてご飯にのせるステーキ丼は日本人の発明です。甘辛く煮た牛肉をのせる牛丼も日常のメニューになっています。アメリカでは、しょうゆと砂糖の甘辛味の照り焼きステーキが人気を呼んでいるのも面白い現象で、逆上陸といえますね。
ビーフシチュー、タンシチュー、ビーフカレー、ビーフカツなどは日本の洋食を看板にする店の定番料理ですし、牛肉が材料のハンバーグはドイツのハンブルク生まれと聞きますが、メンチカツやハンバーガーとなって学校給食やファストフード店で愛されています。
| 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070900 |