【旬のうまい魚を知る本】 >
▼コンブ産地のハッカクはうまい

北海道の襟裳(えりも)岬に近い浦河(うらかわ)町でハッカクが水揚げされると聞いて、取材したことがある。ここでは9月から翌年の4月まで沖合底曳網漁が行われ、スケトウダラ、キンキ、メヌケのほか、マガレイ、ソウハチガレイ、オイラン、アサバ、サメガレイ、オヒョウなどのカレイ類が多く水揚げされる。その中にハッカクが混じる。
「ここ日高の沿岸はご承知のとおりにコンブの産地だ。そのコンブにこまい(小さい)魚がつき、それを狙って大きな魚が根付くから、たっぷり太ったうまい魚が多いよ」。そう教えてくれたのは、浦河魚市場の仲買人で旅館「三之助」の主人でもある塚田吉隆さん。仲買人のベテランも、日高沖の魚の中でもハッカクのおいしさを認める。「冬なら薄造りやルイベを食べられる。夏のハッカクは生ではおいしくないから、軍艦焼きといって、皮付きのまま味噌味で焼き、皮をむしりながら食べる。これがまた野趣豊かでうまいよ」。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070606 |