【旬のうまい魚を知る本】 >
▼体型を生かした軍艦焼きという料理

塚田さんがすすめる軍艦焼きは、ハッカクの奇妙な形を生かした料理法である。ヒレを取り除いて頭から包丁を入れ、そのまま背割りにして、上顎と腹の皮の寸前で包丁を止める。背からハラワタを取り除き、水洗いして水気を拭き取り、割った背の中に味噌を入れる。これを焼き始めると、ジュージューと音を立てて香ばしさが立ちこめてくる。
皮をばりばり剥ぎながらほおばると、類を見ないほど上品な味の白身が、味噌によって一段と風味を増しているのだ。その形は、なるほど軍艦によく似て、見た目も面白い。軍艦焼きはハッカク以外ではこうはうまくいかない。
ぼくはハッカクが手にはいると、よく塩焼きにする。腹を切り開いてハラワタを取り除き、多めに塩を振って皮ごと焼く。皮を剥ぎながら食べると、白身のデリケートな風味がよりじっくりと味わえる。皮を剥いでぶつ切りにして、鍋や味噌汁に入れても文句なしのうまさだ。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070607 |