【旬のうまい魚を知る本】 >
▼肝味噌田楽で肝をとことん味わう

ドンコを食べることだけを目的に、わざわざ岩手県の海岸沿いまで足を伸ばしたことがある。ある漁師宅でドンコの肝味噌田楽をご馳走になった。これは手が込んだ一品だった。まずドンコの腹から肝を半分だけ抜き、これに味噌と醤油を加えて、すり鉢ですって肝味噌を作っておく。腹に残した肝半分をそのままにドンコを焼き、火が通ったところで肝味噌を両面に塗り、さらに焼き上げる。肝味噌の焼ける匂いの香ばしさが、待っている者には罪なほどである。一口をほおばり、もうそれだけでドンコの底力を思い知らされたのだった。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070591 |