【旬のうまい魚を知る本】 >
▼あの風体のドンコがハレの日の魚とは!

この魚のことになると、浜の人たちはにわかに饒舌になるのが面白い。宮城県歌津町の漁師であり、民宿「高倉荘」の主でもある高倉才二郎さんもそんな一人だ。
「ふだんのドンコは水深100~300メートルに生息して、沖合底曳網漁で獲れる深海魚だ。それが10月から3月のあいだは産卵のためか浅瀬に移動してくるので、あたしらはそれを籠網で獲っているんだ」
歌津町の漁師はもちろんドンコ好きで、いろいろな料理法で楽しんでいる。いや、それだけではなく「ここらでは特別の魚で、ハレの日にドンコを食べる習慣があるよ」と高倉さん。ぼくは各地でドンコを取材しているけれど、ドンコがハレの魚とはほかで聞いたことがない。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070592 |