【旬のうまい魚を知る本】 >
▼天下一品の味、かぶす汁

氷見で大敷網と呼ばれる大型定置網は、水深50~70メートルに4~6キロの垣網を張り、袋網へ誘い込む漁法だ。その大敷網のブリ漁を終えて、漁師が暖をとるための料理が氷見名物のかぶす汁。商品価値のある魚は売り、残りの小魚が漁師用になる。その分け前を氷見では「かぶす」というのだ。作り方は豪快そのもの。大鍋に水を入れて火にかける。ダイコンをそぎ切りにして入れる。カタクチイワシや小アジなどの小魚は丸のまま、イカやカワハギはハラワタを除いて放りこむ。魚に火が通ったところで味噌を入れる。めいめいの器にとり分け、熱いのをハフハフいいながらほおばる。小魚や雑魚だからこそ、天下一品の味に仕上がるのだ。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070563 |