【旬のうまい魚を知る本】 >
▼磯釣師は「夜の帝王」と畏敬する

釣人のあいだで、クエは磯釣りの対象魚で最大にして最高の美味とされる。クエは磯の洞穴に棲み、夜になると穴を出て、魚やエビ、カニをあさる。したがって昼間よりも夜のほうが釣りやすく、クエ狙いの釣師は暗い磯で格闘する。それで付いた異名が「夜の帝王」。なんだかオミズの親分みたいだ。
作家であり釣師でもある開高健さんが『私の釣り魚大全』の中で、鹿児島県徳之島の漁師から、クエ釣りのことを巧みに聞き出している。120キロの大物を釣ったこと。それが1日4尾も釣れたこと。クリ舟2隻で港へ持ち帰ったが、ふちまで水がきて舟が沈みそうだったこと。このページは何度読み返しても、作家の達者な文章とクエ釣りの迫力に圧倒される。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070506 |