【旬のうまい魚を知る本】 >
▼「ぞうり」と「うちわ」のどちらがうまい?

ゾウリエビは漁獲量が少ないため、漁師の酒の肴になるか、地場で消費されてしまう。ぼくはこの味が恋しくなると、静岡県松崎町雲見(くもみ)の民宿「えびす屋」をたずねる。主人である漁師の高橋吉明さんが仕掛ける網に、ゾウリエビだけでなくときにはウチワエビまでがかかるのだ。
「ゾウリエビはイセエビ網にかかってくるから、水深10メートルから30メートルにいるようだね。9月から翌年5月のイセエビ漁の時期にちょくちょく上がってくるよ。ウチワエビは春先が多い。水深80メートルから100メートルのヒラメ狙いの刺網にたまにかかってくる。ゾウリエビとウチワエビのどちらがおいしいかって? そうだなあ、ゾウリエビは磯に棲んでいるから、それだけ身が締まって甘味があるような気がする。鍋にしてもよく味が出るしな」
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070391 |