【旬のうまい魚を知る本】 >
▼和泉式部はイワシが大好物だった?

室町時代にまとめられた『猿源氏草紙』には、和泉式部がイワシ好きだったことが書かれているそうだ。平安中期に『和泉式部日記』を著した女流歌人が、大好物のイワシを食べていると夫の藤原保昌が帰宅した。当時のイワシも安い魚だったのだろう、和泉式部はあわててイワシを隠した。魚臭さが残っていたのか、保昌が不審に思って問いただすと、才女はこう答えたという。「日の本はいははれ給ふいはしみず まゐらぬ人はあらじとぞ思ふ」。石清水八幡宮にまいらぬ人がいないように、イワシを食べない人もいないでしょうといった意味である。もっとも、同じようなエピソードは紫式部にも残っているそうで、事実は定かではない。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070299 |