【旬のうまい魚を知る本】 >
▼東北でベロ、瀬戸内でゲタ、九州でクツゾコ

アカシタビラメもクロウシノシタも奇妙なネーミングだが、シタビラメほど愉快な地方名をたくさん持っている例をほかに知らない。東北ではベロ、あるいはウシノベロ。瀬戸内海の小島ではゲタの通り名がある。香川県ではウマノシタ、九州ではクツゾコ、鹿児島ではセッタ。福岡ではセッタノウラガワと聞いたこともある。北陸のネズリは「なめる」意味がある。誰でもその形から舌や履き物を連想するのであろう。
ヨーロッパでも、Sole(靴底)、Tonguefish(舌の魚)の名があり、この魚に関しては洋の東西を問わず同様のイメージなのがおもしろい。なおフランス高級料理で知られるドーバーソールは、ドーバー海峡で漁獲される大型のシタビラメのこと。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070187 |