【旬のうまい魚を知る本】 >
▼柴垣産イワガキがうまいのは白山水系のおかげ

イワガキの名産地は象潟(きさがた)(秋田県)、吹浦(山形県)、銚子(千葉県)など全国に散らばり、それぞれ高い評価を受けている。柴垣(しばがき)のイワガキ(石川県羽咋(はくい)市)もその一つ。北上する対馬暖流が能登半島の太平洋側(地元では外浦と呼ぶ)にまともにぶつかり、長いあいだの海蝕作用により岩礁地帯を作り上げた。この複雑に入り組んだ岩場には、そうした条件を好む磯魚や貝などが多く生息している。柴垣は外浦の玄関口に位置し、白い砂浜に続いて海中には岩礁が多く、イワガキの格好の生息場所。さらに「ここのイワガキがうまいのは白山水系のおかげ」と土地の人が自慢する条件が加わる。白山の伏流水を集めた手取川が遠く美川町で日本海に注ぎ、海流によって柴垣の岩場まで運ばれてくる。汚れがなく有機物を多く含む真水が、ここで海水とほどよく混ざり合い、柴垣の岩ガキを育てるのだそうだ。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070090 |