プラトン
【ぷらとん】
元レスラーで、ムキムキの筋肉マンだった哲学者
古代ギリシアを代表する大哲学者プラトン。師ソクラテスのあとを継いで、自説「イデア論」を根底に理想主義哲学を展開した。視覚世界で丸いとか色とか美しさといった地上の固有のものが持つ感覚的存在は、普遍的なイデアから見かけの存在をもらっているにすぎないとする。よって、普遍的イデアは、理性によってのみ認識されなければならないと説いた。彼の著作は比喩やミュートス(神話)が多用されていて、後に続く哲学者たちに多くの議論を巻き起こすことになった。それだけにイデア論が今日まで様々な方向で研究され続けているのだろう。弟子であるアリストテレスの経験主義、現実主義と並び西欧哲学の二大源流となっている。アテナイの名門の家に生まれ、ソクラテスとの交友があったという家庭は、すでにプラトンをして大哲学者に育てる環境であったということができる。しかし、そんな環境にあって彼は、早くから思索にふける青年学者ではなかった。なんとレスリング大会での優勝経験を持つ、筋骨隆々たるレスラーだったのだ。いまに残るプラトンという名前も、本名ではなく、レスリングの試合に使ったリングネームではなかったかといわれているほどである。そもそもギリシア語でプラトンというのは、「幅広い」とか「平らな」という意味である。これも彼の肉体の見かけからきたものと考えられなくはない。当時の名門家庭では、日本の文武両道よろしく、知的教育と並んで体育教育がおこなわれるのが普通で、プラトンもレスリングを身につけることになったのだ。そしてイストミア祭のレスリング大会で二度も優勝するのだが、オリンピアの祭典では栄冠を手にすることができなかったという。そこでやむなくソクラテスに弟子入り、知的教育の成果として哲学の道を歩むことになったのだった。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820778 |