箸
【はし】
自分に合った長さを計る方法とは?
デザインや材質など、最近は箸もバリエーションが豊かになり、どれにしたらいいか迷ってしまうこともある。それに加えて、長さも少しずつ違ったものがある。数センチしか違わないのに、手にしっくりくるものと、こないものがあるのはどうしてなのだろう。箸の長さは、体の寸法から割り出した「身度尺」から計算されている。利き手の親指と人差し指が直角になるように開いたときの親指と人差し指の間の長さを「人咫」というが、その一・五倍がぴったり合った箸の長さだという。もちろん、人によってその長さはまちまちだ。平均すると日本人男性では二二・五センチ、女性では二一センチとなり、箸はこの長さを目安につくられている。夫婦箸なども、たいていがこの長さである。ところが、お正月や結婚式など、祝いの席で使う白木(何も塗られていない木)の箸にはそのような違いはない。これは、もともと白木の箸は神に供え物をするときや朝廷の宴などで使われた「ハレの箸」で、塗り箸など日常に使う「ケの箸」とは役割が異なるからだ。同じ箸文化を持つ中国や韓国では、男女に関係なく同じ長さのものを使う。日本でそうではない理由は、日本料理がいろいろな種類の料理を箸だけで食べる必要があるからで、皿の上で魚の身をほぐしたり肉や野菜を切ったり、豆類など小さな物をつまんだりと、細かな動きを求められるためである。体にぴったりの持ちやすい箸を使うと、断然箸さばきもよくなり、食べやすい上に動作も美しく見える。「どうも箸づかいが不得意で」と悩んでいる方は、一度箸の長さを見直してみてはいかがだろうか。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820699 |