トウモロコシ①
【とうもろこし】
トウモロコシに生えている毛は何?
甘くてジューシーなトウモロコシは、真夏の旬には、ゆでたり焼いたり、粒だけをとってコロッケに入れたりと大活躍する。ところで、生のトウモロコシの皮をむいたことがある人ならば、なかの黄色い粒々の塊から生えている毛のようなものが何なのか疑問に思ったことがあるだろう。これは、めしべの先端が長く伸びたもので、「絹糸」と呼ばれている。長いものでは五〇センチを超し、この絹糸を使ってトウモロコシは受粉をする。では雄花はどこにあるかというと、私たちの背よりも大きくなるトウモロコシの茎のいちばん上の先端部分にある。ススキの穂のようになっているところだ。そこで開花して花粉を放出するのだ。それを下の絹糸が受け止めるというわけだ(普通は他花受粉)。そして受粉して育った実が、あの黄色い粒々なのである。粒の形は品種によって異なり、大きさも三?二〇ミリの幅があるが、一〇ミリ前後のものが多い。色も白、黄、橙、赤、紫色など多種である。さて、粒の腹面には大きな胚があり、なかに次代の幼芽、幼根が準備されている。残りの部分は胚乳でタンパク質が豊富、角質の硬質デンプン組織と紛状質の軟質デンプン組織からなる。その割合や胚乳内での分布は品種によって大きく異なるが、八変種の品種群に区分される。なかでもポップコーンと呼ばれる爆裂種は、粒の中央部に水分を含んでおり、熱すると軟質部が急にふくらんで粒が爆ぜる。また、スイートコーンと呼ばれる甘味種の甘さは、胚乳に多く含まれる糖の働きによる。おもに未熟な果粒を缶詰にしたり青果を食用とする。デントコーンは飼料またはコーンスターチの原料になる。そのほか、ソフトコーン、ワクシーコーンなどがあるが日本ではほとんど栽培されていない。私たちに邪険に扱ってこられた絹糸は、実はトウモロコシにとっては結実に欠かせないめしべであり、食べられてしまう黄色い粒々は種子だったのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820606 |