注射針
【ちゅうしゃばり】
棒に穴をあけるのではなく、金属板を丸める
あの細い注射針の穴は、どうやってあけているのだろうか。実は、細い棒に穴をあけるわけではない。板状のステンレスを丸め、端と端を溶接して筒をつくっているのだ。その筒を細くしていって仕上げるのだが、その工程で欠かせないのがダイヤモンドダイスというドーナツ型の精密工具。いろいろなサイズのダイヤモンドダイスに、丸めたステンレスの筒を通して、少しずつ細くしていくのだ。通常の注射針のサイズは、一八ゲージ(直径一・二五ミリ)から二六ゲージ(直径〇・四ミリ)である。しかし、最初の筒の太さの直径は四ミリほどだという。そこから細く加工していくのだが、いきなり細い穴には通せないので、サイズの異なるダイヤモンドダイスを三〇から五〇回もの回数を通しながら徐々に細くするのだ。こうしてつくられた注射針のうち、一八・一九ゲージは輸血用、二一?二五ゲージは静脈用・皮下用、二六ゲージはツベルクリン用となどとして使われている。二一?二五ゲージの針は、太さだけでなく、刃の長さ(針先を斜めにカットする角度)によっても使い分けられている。静脈用は、その用途から血管を突き抜けてしまうことのないように刃長面が短い。皮下用は刃長面が長いので、よりとがっている形になる。そのため、静脈用に比べると痛くないといわれている。そういえば、点滴を打つときなどにさされる針が妙に痛く感じることがあるが、あれは針の太さというより、切断面の違いで痛みを感じているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820556 |