政治家
【せいじか】
落選した代議士はどんな生活を送っているのか?
「サルは木から落ちてもサルだが、代議士は選挙で落ちればただの人」とは、政治家がしばしば自嘲的に使う言葉である。かつては「井戸塀政治家」という言葉もあり、幾度も選挙に出て真剣に政治に取り組めば、いくらお金があっても足りず、自宅には井戸と塀しか残らないという意味で使われた。いまの国会議員は、国会法に基づいて定められた月額約一四〇万円の歳費がいわば給料である。そのほかに文書通信交通滞在費も一〇〇万円支給され、期末手当もあるから、入ってくる金額は三〇〇〇万円を優に超えるという。さて、落選すれば、まずこの収入がなくなるため、収入の確保が最優先されるはずである。ところが、もちろん議員になる前の仕事に戻る人はあっても、彼らにはもっと重要な仕事があるという。それは、次の選挙にまた出馬するための準備である。まず落選した翌日、場合によっては開票結果の出たその夜から後援者たちへのお詫び行脚である。人によっては通勤ラッシュを狙って朝の駅頭に立つケースもあるらしい。支持者へ応援のお礼を述べつつ、実は次の選挙のための街頭演説をするのである。地域によって支持者団体を持つ人は、各団体の集会に顔を出しては、あいさつをしたり引き続いての支援を依頼したりもする。学校の運動会でも地盤内にある企業のパーティでも、できるだけ顔を出して忘れられないように努力を重ねるのだ。所属している党によっては党職員という肩書きのある人もおり、そんな人は党務に就くものの、やはり党全体を支持してくれる人たちの集会に顔を出すことも多い。もしかしたら、居眠りのできる国会に出席するよりも忙しいくらいかもしれないのが落選中の政治家であるらしい。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820476 |