ポンコツ
【ぽんこつ】
擬態語から生まれた、明治初期から使われている言葉
古くなった機械や中古品、廃物のことを「ポンコツ」という。壊れた自動車などにもポンコツという言葉を使うが、これは擬態語から生まれた珍しい言葉だ。「ポンとゲンコツで相手を倒す」ということが語源になったのだという。この言葉は明治初期、文明開化が叫ばれている時代に、外国との貿易をする開港場の横浜などで使われた。ただ、このときにはまだ、現在の意味とニュアンスが違っている。やがて、それは鍛冶屋が鉄を叩くときに使う大きなハンマーのことをいうようになっていった。そして戦後になり、現在のポンコツの意味が広がったのは、「ポンコツ屋」といわれた自動車の解体屋が生まれたことによる。自動車を解体するのに、「ポン」「コツン」「ポン」「コツン」と大きなハンマーで壊すからだ。一九六〇(昭和三五)年の阿川弘之の小説『ぽんこつ』の一節に「ぽん、こつん。ぽん、こつん。ぽんこつ屋はタガネとハンマーで、日がな一日古自動車を叩きこわしている、その音からきているらしい」とある。このほかに、ぽんこつ屋は、使い古したボロ自動車や、事故を起こして修理も不可能になったような自動車を買い取って、ばらばらに解体して活かして使う部分や鉄板などに分ける商売、とも小説には書かれている。これを受けて「ポンコツ屋に持って行くようなもの」ということから、現在でも壊れかけた機械や中古品そのものを「ポンコツ」というようになったようだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820821 |