乗車率
【じょうしゃりつ】
電車の乗車率一〇〇パーセントって、どれぐらい人が乗っているの?
電車の揺れに合わせて体が揺れても、電車がカーブを曲がって体が斜めになっても倒れることがない。これが大都会における電車のラッシュ時の典型的な風景だ。電車の車両には、連結部分に近いところに「定員○○人」などと表示されていることがあるが、ラッシュ時はどう見ても定員を超えている。これは車や飛行機なら定員より多くの人数を乗せれば法律違反だが、電車には一応の定員はあっても、それを超える人数を乗せてはいけないという決まりがないからだ。いったい、電車の定員数と乗車率はどうやって決めているのだろう。日本工業規格(JIS)では、通勤電車の定員の決め方を定めている。それによれば、たとえば座席のない通勤電車なら、床面積を乗客一人が占める面積(〇・三平方メートルとする)で除した数が定員数になる。本当の計算はもう少し複雑だが、つまりは立っている人が一平方メートルあたりに三人ぐらいいるときが、乗車率一〇〇パーセントであると考えればいいだろう。具体的な数字をいうと、一般的なJRの通勤電車なら一車両で一四五人ぐらいである。これは、立っている人が全員吊り革につかまるか、ドア付近の柱につかまり、他人と体が触れ合うことがない状態ぐらいである。隣の人と肩が触れ合うことがあっても、なんとか新聞を広げて読める状態なら乗車率は一五〇パーセント、週刊誌ならなんとか読めるという状態で二〇〇パーセントだ。朝夕のラッシュ時の手足すら動かせないという状態なら、乗車率二五〇パーセントで、これは東京の山手線や大阪の環状線なら、定員一四五人に対して三六二人が乗っている計算だ。国土交通省では二〇一五(平成二七)年までに、混雑率を一八〇パーセントにまで減らすよう鉄道会社を指導しているというが、これだと折りたためばなんとか新聞が読める状態ぐらいである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820419 |