クラシック
【くらしっく】
お酒にクラシックを聞かせると、美酒になる!?
酒に音楽を聞かせるとおいしくなるという話を聞いたことがないだろうか。福島県喜多方市の小原酒造では、日本酒をタンクで発酵させるときに、モーツァルトの音楽を聞かせているそうだ。聞かせた「もろみ」は、聞かせていない「もろみ」に比べて酵母の死滅率が低く、その分雑味が減るため、すっきりとした味わいとなるという。同酒造では、クラシック以外にもジャズや演歌も試してみたが、クラシック、なかでもモーツァルトに勝るものはなかったそうだ。ちなみにこうしてできた酒は「蔵粋(くらしっく)」と名づけられた。山梨県工業技術センターが一九八九(平成元)年におこなった実験で、ワインの発酵時に音楽を聞かせたところ、酵母が活性化したとみられる結果が出たという。鹿児島県薩摩川内市の田苑酒造では、一九九〇(平成二)年から焼酎に音楽を聞かせはじめた。工場内のBGMとしてベートーベンの「田園」を流したのがそのきっかけだ。半年後に、スピーカー近くにあったタンクの発酵が、通常よりも早く進んでいることがわかった。そこで、貯蔵用タンクにトランスデューサー(振動変換器)をとりつけ、クラシックを流したところ、さらに味がよくなったという。こうした効果は、「音=振動」ということに大きな理由があると考えられている。音楽、つまり振動を与えることで、液体に含まれる粒子が攪かく拌はんされ、味わいがまろやかになるのだそうである。モーツァルトのようなクラシック音楽は高周波数の音が多く含まれている。高周波数の音は液体を振動させる。つまり酒の場合は酒そのものを振動させることになる。一方、低周波数の音は固体すら振動させる。つまり酒の入った容器自体を振動させることになる。クラシック音楽を流せば、高周波と低周波の両方の音で、内側と外側の両方から攪拌を促進するので最も効果的ということなのだろう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820256 |