キヨスク
【きよすく】
実は殉職職員の遺族救済のために生まれた!?
JRの駅の売店「キヨスク」。毎日の通勤や通学途中でお世話になっている人も多いだろう。あの小さなスペースからは想像もできないほど多くの商品を取り扱い、一度に多くの客をテンポよくさばいていく熟練スタッフの技にはため息がでる。このキヨスク、実は一九七三(昭和四八)年以前は「鉄道弘済会駅売店」という堅苦しい名前だった。鉄道弘済会は鉄道事故で亡くなったり退職せざるを得なかった、国鉄職員の家族の福利のための団体で、家族の生活を支える職場として国鉄構内での売店事業をはじめたのである。当時の鉄道員の仕事は危険なものも多く、また保険制度などがあまり充実していなかったので、残された家族が路頭に迷うことも多かったようだ。七三年に鉄道弘済会創立四〇周年を記念して売店の名前変更が計画され、様々な候補のなかから選ばれたのが「キヨスク」だった。最終候補に残ったものとして、「キヨスク」のほかに「グリーン・ショップ」「ユアメート」の二つがあったが、最終的に「ヨーロッパの国々で駅売店が「KIOSK(キオスク)」と呼ばれているから、という理由で決定した。もっともキヨスクに改名される以前から、国鉄の案内標識に英訳として「KIOSK」と書かれていたというから、妥当なところにおちついた、といった感じだろうか。なぜ「キオスク」ではなく「キヨスク」かというと、「清く」あるいは「気安く」利用してほしいという意味がこめられていたようだ。ちなみに「KIOSK(キオスク)」の語源は、トルコ語で「あずまや」を意味する「キウシュク」。さらにそのルーツは、ペルシア語で「宮殿」を意味する「コーシュク」に由来するのだという。宮殿とまではいかないが、確かに通勤・通学途中のかけがえのない憩いの場には違いない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820236 |