カント
【かんと】
時計がわりにされていた!?徹底した規則正しい生活
東プロイセンの首都ケーニヒスベルクに生まれたカントは、一八世紀末に『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』三部作を刊行。人間の物事に対する判断や行動に関して新しい方向から光をあて、現代哲学にまで大きな影響をおよぼした。人間の認識に関して新しい見方を定義したカントは、その行動の基本を道徳に置くことを唱えたが、彼の生活習慣は、まるでその実践でもあるかのようだった。体のなかに時計があるかのごとく、起床から就寝までの一日を、実に規則正しく送ったというのだ。睡眠は欠かさず毎日七時間とり、朝の五時に起床。朝食にはコーヒーを二杯飲んでタバコを吸い、教鞭を執る大学へ出勤するまでは机に向かった。大学では、午前中に講義をおこない、講義のないときは研究に没頭した。そして昼になると、昼食を時間をかけてとり、休息時間が終わると一人で午後の散歩に出かけた。午後の三時半になると大学を出て散歩に向かうため、ケーニヒスベルクの街の人たちは、彼の姿を見て時計を合わせたといわれるほど規則的だったという。そして夜は一〇時に就寝した。子どもの頃、病弱だったため、規則正しい習慣を身につけて克服したと伝えられているが、終生変わることのない生活リズムを貫き通したそうだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820206 |