カツオのタタキ
【かつおのたたき】
叩いてないのに、なぜ「タタキ」なのか?
アジのタタキといえば、三枚におろした魚肉から皮を取り除き、細かく叩いたものをいうが、カツオのタタキは皮もついているし、身もそのままの形だ。それなのに、どうして「タタキ」というのだろう。カツオ漁で有名な高知県土佐市の宇佐漁協によれば、宇佐周辺では、カツオを火であぶった後、塩を振り、カツオのタタキ用につくられたタレをかけて食べる。旧佐賀町(現・黒潮町)では、火であぶったカツオにタレをかけ、それを手や包丁の側面で叩いてタレを染みこませるのが、カツオのタタキであるという。はっきりとした説があるわけではないが、土佐造りが原形ともいわれ、カツオ節をつくるときに残る部分を、皮付きのままで串に刺して焼き、土佐酢をかけて包丁の背で叩いたことが、カツオのタタキという名前の由来のようだ。ちなみに現在では、カツオのタタキはショウガ醤油で食べるのが一般的だが、江戸時代にはカラシ醤油で食べるのが好まれていたという。土佐造りとは異なる、皮付きのまま火であぶってから氷水に入れ一気に冷やす方法の「焼霜造り」の刺身は、江戸時代初期頃からおこなわれていたという記録が残っている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820168 |