アンコウ
【あんこう】
食用アンコウのほとんどはメス
ガバッと大きな口を開けて、海底をごそごそと動いているアンコウ。お世辞にも美しい姿とはいえないが、鍋にして食べたり、肝のとも和えにすると、抜群においしい魚である。このアンコウだが、キアンコウやクツアンコウといった食用のものは、ほとんど「メス」だというから不思議。動物や魚の場合、メスのほうが体が大きいという種類も多いが、アンコウの場合、極端にメスのほうが大きいという。食用ではないが、チョウチンアンコウの一種であるミツクリチョウチンアンコウなどは、成長したオスがメスの三分の一から二〇分の一ほどの大きさ程度。しかも、オスはメスの体を見つけると、その体に吸い付く習性があり、メスのあの大きな口の周りの皮膚に張り付いたまま吸収されて、メスと一体化してしまうという。そして、オスはメスの血管を通して栄養をもらいながら生き続けるという。これは繁殖のためで、チョウチンアンコウの生活する深海では、オスとメスがめぐり合う確率がとても低い。そのため、出会ったらすかさず、繁殖期であるなしにかかわらず、張り付いてその時期を待つという。だから、一匹のメスに、複数のオスが張り付いているというケースも珍しくない。繁殖の方法は、オスが、メスが産卵したときに精子をかける。そのために、合体しているのがいちばん効率がいいのだ。ちなみに、養殖アンコウの場合、オスは繁殖の目的だけに使われて、食用になるのはほぼすべてがメスとなっている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820031 |