アレクサンドロス大王②
【あれくさんどろすだいおう】
戦のことで頭はいっぱい?性欲が足りなかった戦の神
わずか一〇年あまりで大帝国を築いた英雄アレクサンドロス大王だが、彼は、「英雄色を好む」という通説に反して、性欲が少なかったようだ。あまりにも女を欲しがらず禁欲的なので、両親が一時は彼に体質的な問題があるのではないかと心配したほどだったという。彼も結婚はしている。東方遠征の途中でバクトリア貴族の娘ロクサネと結婚した。さらに三年後、三二歳のとき、ペルシアのスーサで、自分自身も含めて将兵約一万人とペルシア女性との集団結婚を挙行した。彼自身は、自分が滅ぼしたアケメネス朝ペルシアのダレイオス三世の娘と、アルタクセルクセス三世の娘を娶とっている。しかし、この集団結婚式は、征服民族と被征服民族の融合をめざすという意図があった。そのために自身が征服した国の王女たちを妻にしたのだから、一種の政略結婚ともいえる。もしもロクサネとの結婚も同様の意図だったとすれば、彼は、常に自分の理想のために結婚したことになる。征服の途中で出会った美女が気に入って、身近に侍らせ……といったことがあってもよさそうなものだが、そのような話が伝わっていないのなら、やはりアレクサンドロス大王は性欲が希薄だったのだろう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820027 |