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カルパッチョ

赤い生肉の薄切り料理から鮮魚の刺し身の洋風仕立てへ

日本でおなじみのカルパッチョといえば、刺し身の洋風仕立てといったところが一般的。だが、この鮮魚のカルパッチョというのは、元々はイタリアになかったという。本来は薄切り生肉にソースやチーズを振りかけた料理。名の由来は諸説あるが、イタリアの画家Vittore Ca r p a c c i o(ヴ ィットーレカルパッチョ) の絵の特徴である独特な赤い色づかいを、牛の赤い生肉で表した料理として誕生したらしい。
その赤い牛肉が、日本で赤身のマグロになり、それがタイなど白身魚にも適用されて、ついにはイタリアにも逆輸入されるに至っている。写真はマダイを使用している。新鮮な生魚を薄く切って涼やかに並べ、オリーブオイルを回しかけ、ピンクペッパーと緑鮮やかなディルを添えて。あっさりしたタイの風味が、爽やかに引き立つ。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子) 「イタリアン手帳」 JLogosID : 8541012 |