【すし手帳】貝 >
ほっきがい


ほんのり赤みを帯びてつややかな、薄い紫のグラデーション。冷たい北の海(写真は北海道長万部産)で育まれたこの姿は、姥(老女)というより、平安朝の絵巻物に描かれた若い貴婦人を連想させる。つるんとした舌ざわり。噛めばさくっと歯切れよく、甘くみずみずしく、潮の香も初々しい。
漁場によって漁期が異なり、一般的にはグリコーゲンの含有量が増える冬を旬とする。寿命は長く30年以上。姥貝の名はここから生まれたともいう。殻が黒色化したものは「黒ぼっき」と呼ばれ、殻の割に身が大きく、高値で取引される。
![]() | 東京書籍 (著:坂本一男) 「すし手帳」 JLogosID : 8003077 |