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60歳からの人生を愉しむ心理学第6章 老いたときに後悔しない生 >

定年後、男性はどんな夢を見るのか?

私の偏見かもしれませんが、「夢」という言葉は、若者には似合うけれど、老年にはどうも似合わないような気がします。「夢見る乙女」という言葉はありますが、「夢みる老年」というのは、どうなのか。夢を見るのは若者の特権ではないか、と思ったりします。
しかし、ある人材派遣会社に寄せられた「わたしの夢」によると、六〇歳以上の人もちゃんと夢を見ています。その夢の内容とは、「旅行(二三%)」「勉強(一六%)」「暮らし(一四%)」など。決して実現不可能な夢ではありませんので、実行計画を立てて実現していけるでしょう。
しかし、ここにもうひとつショッキングな結果があります。その夢を「妻とかなえたい」と考える男性は三一%で、全体のピーク。一方、「夫と夢をかなえたい」と考える女性は七%。どうも年をとるほど男性は女性に見捨てられていく傾向にあるようです。
しかし、長い年月の間にそうなってしまったのは、夫のほうにも原因があると考えられます。
たとえば、妻は結婚当初、結婚生活にさまざまな夢を抱いていたのでしょう。
「日曜日は家族でガーデン・バーベキュー」とか「私がバイオリン、子どもにビオラを習わせて、夫のチェロで家族四重奏を愉しみたい」とか。しかし実際には、夫は日曜日はゴルフ、たまに誘ったコンサートでも居眠りをしてしまう。
「夫と一緒に私の夢をかなえるのは無理だった……」と妻は早々とあきらめたのかもしれません。一方、夫のほうは忙しさにかまけて、「二人の夢」をかなえるのは定年まで先延ばしにしていただけ。
さあ、いよいよ仕事をリタイアして夫婦の夢をかなえるときがきたと思ったら、妻のほうは「夢からリタイアしている」というわけです。三〇年遅い。
しかしこれは、男性のほうが夢見がちな傾向にあり、いつまでも夢を見ていたいがゆえのズレかもしれません。女性のほうが夢から覚めるのが早いのでしょう。
お互い夢から覚めたところで現実のすり合わせをすることも大切です。もう一度二人で何かに取り組める可能性、なきにしにもあらず。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615438


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