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60歳からの人生を愉しむ心理学第6章 老いたときに後悔しない生 >

一緒に生きる人がいることの幸福感

幸福には人それぞれの答えがありますが、私が考える「老いてからの幸せ」のひとつは、「人と生きる」ことです。
男なら妻に看取ってもらう、あるいは妻を看取る。人生の最後まで家族や友人と接触がある。単純で、しかし一番難しいことのようにも思いますが、個人的には、一緒にいてくれる人がいることは幸せだと思っています。
もちろん、ひとりでも幸せな気持ちでいられる時間もありますが、ずっとひとりぼっちというのはやはり寂しい。生身の人が周りにいて、おしゃべりしたり心配し合ったりできるほうが幸福感につながるのではないかと思います。
そして私は、できれば妻より先に死にたいと思っています。妻は七歳年下ですから、男性と女性の平均寿命を考えれば、まあまあかなえられない目標ではないでしょう。しかしこればかりはわからない。妻は「私のほうが早いかもしれない」と言います。
しかし一応、私のほうが先に死ぬという前提で、だいぶ前に遺言状も書きました。妻にもそのコピーを渡してあります。ちなみに妻は遺言状は作っていないようですから、本当は自分のほうが長生きすると思っているのでしょうか。
あるご夫婦は、二人で「どちらかが死んだら、先に逝ったほうが必ず一年以内に迎えにいこう」と約束しているそうです。
これが実現できるかどうかはともかく、私は夫婦でこういう話をすることが大事ではないかと思います。
いよいよ死が現実的に目の前に迫ってくるより先に、二人でちょっとイメージしてみる。するとお互いに考えていることがわかり、連れ合いがどんな幸福をイメージしているのか、どんな老後をイメージしているのか、理解が深まるのではないでしょうか。
逆に「それっぽっちしか私に残さないつもり?」「いや、ちょっと他にも分けなければならない秘密の家庭が……」と衝撃の事実が判明して老年離婚の危機が迫ることもあるかもしれませんが、夫婦にもそれぞれの事情がありますので、そこはよくよく考えてから。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615440


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