【60歳からの人生を愉しむ心理学】第2章 「老い」へ向かう軽やかな >
人生の前半戦に強い人、後半戦に強い人

心臓病医のフリードマンとローゼンマンは人間の行動パターンを研究し、人の性格を「タイプA」と「タイプB」に分けました。
タイプAは「競争を好む、精力的に動き回る、時間に追われてせかせかしている、イライラしやすい、攻撃的」などの特徴があり、管理職に多い。臨床統計学的に虚血性心疾患になりやすく、冠動脈硬化が進行しやすいことがわかりました。
タイプAは出世するタイプなので、人生の前半戦には強いのですが、その代わりストレスも多く、人生の後半戦になると病気になる可能性も高いようです。
これに対してタイプBは、「あせらずのんびりマイペース」。出世レースではいつもタイプAの同僚に先を越されていたかもしれませんが、人生の後半戦になると伸びるタイプと言えます。
タイプBの人は、息切れしてきたタイプAを横目に、ゆっくり追求してきた自分のテーマを花開かせたり、いつのまにか趣味を生かして脱サラしたり。特別、他人に勝ってやろうと思っていたわけでもなく、「好きなことを続けてきたら、こうなりました」とあくまで自然体。
人間、自分の性格を急に変えることはできませんし、それぞれの価値観がありますから、一概にタイプAがいいともタイプBがいいとも言えません。
タイプAさんから見たら、タイプBさんが小さなカフェのおやじになることがうらやましいとは思えない。一方、タイプBさんは「あんなにあくせくがんばって出世して何が楽しいのかな?」とタイプAさんを別世界の人間のように見ていたりします。それぞれの幸福があるのです。
しかしまた、そうは言っても自分とは反対の価値観を持つ人のことが気になるのも人間というものです。カフェのおやじになどなりたくないタイプAさんも、楽しそうにコーヒーを淹れているタイプBさんの満足げな顔を見ると、最後に派閥争いで負けた悔しさで自分を持て余してしまったりするかもしれません。
人生も後半戦になったら、今までタイプAだった人も、タイプBのような行動パターンを柔軟に取り入れていくことをおすすめします。きっといつものイライラやストレスが軽減し、人生後半戦の幸福度の上昇につながるはずです。
渋谷昌三(目白大学教授)
![]() | 日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授)) 「60歳からの人生を愉しむ心理学」 JLogosID : 8615387 |