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60歳からの人生を愉しむ心理学第2章 「老い」へ向かう軽やかな >

どんな話題でも会話がはずむ女性の「すごい技」

ひとつの待合室があり、知らない人同士で座っているとします。これが女性同士だと何となくおしゃべりが始まり、コミュニケーションが生まれます。三〇分もするとけっこう仲よくなっています。ところが男性同士だと、一時間くらい経っても、最初の挨拶程度から話が進みません。所在なげに座っているまま……。
なぜ話さないのか?それは、男性は「話すことがない」と考えるからなのです。デボラ・タネンという社会言語学者は「男性の会話は問題解決を優先し、自分の意見を主張するための手段」だと分析しています。会議などでひとつの議題があると、男性は意気揚々と発言する。話すべきテーマ、解決に向かうべき議題があると、男性は発言できるのです。会話とは問題を解決するための道具だという感覚がある。言われてみればその通り。男性である私にはよくわかります。
女性はどうなのでしょうか?女性にとっての会話とは、もちろん問題解決のために話すこともあるでしょうが、それ以上に人間関係の輪を取り持つ、情緒的なつながり(感情の交流)を求めているという意味合いが強いのだそうです。
たとえば電話でも、男性同士は要件が終わったらすぐに切ってしまう。女性は要件が終わってからが本番、3倍くらい無駄話(と男性には感じられる)が始まります。デボラ・タネンによれば「女性の場合、話題は何でもいい、感情交流のために会話ができる」のだそうです。いつでも何でも話せる。今日の洗濯物の話でも、朝のテレビの血液型占いの結果でも、昨日の大河ドラマの話題でも。
男性はなかなかこうはいきません。今日初めて会った人に、「今朝、歯を磨いていたら歯茎から血が出ましてね」などと、どうでもいい(と男性には感じられる)日常の話題を振ることができない。うかつにそんな話題を出そうものなら、相手も男性ですから、歯茎の出血に関するウンチクが始まり、余計なアドバイスをされ、よい病院を紹介されてしまったりします。
これが女性だと「あら~、わかるわあ。お互いもう年ねえ。私も最近腰が痛くて……」「そうそう、掃除機をかけるのがひと苦労」と、たわいもない(と男性には感じられる)話題が広がっていきます。こう書いていて、やはり私には「なかなかマネができない」と感じます。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615389


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