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60歳からの人生を愉しむ心理学第1章 老朽化しない上手な年のと >

退職前後に経験する「七つの段階」

アメリカのジェロントロジー(老年学)の研究者であるアチュレイは、多くの人が退職前後に七つの段階を経験すると分析しています。
第一は、退職から遠い段階で、「仕事に就いている間は死なないだろう」「退職してから仕事の成果に満足するだろう」といった信念を持っています。この段階では、人はまだ退職に向けた準備をしようとは思わず、いつか自分に「退職」の時期がやってくるということさえ、否定します。
第二は退職に近い段階です。退職前プログラムに参加し、退職金や年金、心身の健康を考えます。退職前プログラムに参加した人は、退職時の収入が多く、退職後にたくさんの社会活動に参加する傾向があるそうです。
第三は退職後の蜜月段階です。「今まで時間がなくてできなかったことができるようになる」という陶酔感を覚えます。退職前に仕事中心ではなく熱心にレジャー活動をしていた人ほど、この幸福を味わい、退職に対して上手に適応します。第四は覚醒段階。蜜月段階もひと段落して、落胆や抑うつを感じるものの、空想していた退職後の日々が現実味を帯びてくる段階です。第五は再順応段階で、退職生活の満足を導くライフスタイルを模索し、評価し、決定していきます。
第六は安定段階。自分が選んだ退職生活を実行します。そして第七段階は終局段階で、経済的および対人的な自立と満足を得ます。これはアメリカでの研究ですが、日本人も、だいたい同じような体験をすると考えられます。退職と同時に老年期を迎えることを考えると、退職後をどう生きるか、どう受け止めるかは、老年期をどう受け止めてどう生きるかに関わってきます。
退職は人生の終焉(しゅうえん)というわけではなく、人生のワンステップ。退職後にもまだ長い年月が待っています。若い頃、子どもの成長段階を知るために育児書を読んだり、子どもの将来のために教育費の貯金をしたりしたのと同じように、老年期に向けて自分をどのように育てていくかの計画を立ててみましょう。
そのためには、先達たちの知恵を聞いてみるのもいいでしょう。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615373


【辞典内Top3】 人生の前半戦に強い人、後半戦に強い人  「新奇性」があると、年をとっても軽やかな人になる  フラストレーション耐性の高い人ほど老後を愉しめる  
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