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60歳からの人生を愉しむ心理学第1章 老朽化しない上手な年のと >

「老い」も新たな人生経験

関節というものの存在を感じ始めるのも、「老い」を自覚するきっかけでしょう。若いときには関節は普通に動いていたもので、特別その存在が主張したことはありませんでした。
しかし、だんだん年を経るにしたがって、関節にスムーズさが欠けてきます。
歩くときに違和感を覚え、長時間座っていると立ち上がるときにひざが伸びない。
このキシキシとした動き、ちょっと油を差して滑らかにしたいような感じです。
コラーゲンなのか、ヒアルロン酸なのかわかりませんが、何かそういうものが足りない。体に水分や油分が少なくなってきたのを感じます。
朝、起きると指の関節がほんのり痛い。新聞を広げて読んでいると、下のほうに「〇〇湯」「××酒」などの健康食品の広告が掲載されていて、その症状があまりにも自分にぴったりとくる。「ようこそ、老いの世界へ」と、新しい世界が目の前に広がってくるかのようです。そう、「老い」もまた新たな発見であり、新たな経験なのです。若いときだけが人生ではない。バリバリと動ける、働ける時期が終わったから、もうあとは「余生」というわけではありません。
確かに身体的には「、おぎゃあ」と産まれてから大人として完成するまでが「成長」、以後は「老化」と分類されるのでしょうが、ひとりの人間としては、死ぬまで成長していると言えます。
日々、体と頭が変化していく。その変化も「成長」ととらえることができます。「死」という完成に向かって刻々と成長していく様子が「老い」なのです。その変化もつぶさに体験してこそ、「一人前の人生」と言えるでしょう。老年期は決して、「本番」が終わったあとの「残り」「余り」の人生ではない。
舞台で言えば「第一幕」「第二幕」「第三幕」......そして大詰めの大事な「最終幕」に向かっていきます。終わったあとの「舞台裏」のような老年期にならないためには、スポットライトの当て方を変えていくことも必要かもしれません。
人生の最後までまるごと愉しめる舞台になるよう、新たなステージでの新たな自分を愉しみたいものです。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615374


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