【東京五つ星の魚料理】すし > 千代田区
金多樓寿司
【きんたろうずし】
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下町っ子気質を握った江戸前すし
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これといって目立つ建物もなければ、人通りもさして多くないこの町の一角に半世紀以上、淡路町で創業した昭和4年(1929)から数えれば、およそ80年間「金多樓」の看板を掲げてきた。店はいかにも古くからの町のすし屋らしく、三代目当主の藤田武さんと奥さんの悦子さん、それに主人の両親と、家族4人だけで切り盛りする。
食べ終えた客が「ああ、疲れが抜けた――」と思わず漏らす、そんなすしを握りたいと主人はいう。ブランドには特にこだわらず、その時季一番いいタネをと心がける。上掲のにぎりは出水の墨イカ、天草の小肌、青森のヒラメ、気仙沼のカツオ。戸井の中トロ、大間のトロはいずれも黒鮪。よいタネのために築地通いを怠らず、たとえばカツオは藁の火で炙るなど、できることにはベストを尽くす。金多樓のすしには、下町っ子の意気地のサビも利いている。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の魚料理」 JLogosID : 14071028 |