【東京五つ星の魚料理】日本料理 > 中央区
馳走 啐啄
【ちそう そったく】
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お腹に心に温かい、懐石の本流
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「馳走」は東に馳せ、西に走りして客の食事のための材料を集めること。「啐啄」の啐はヒナが内側から、啄は親鳥が外側からそれぞれ殻をつつくこと。合わせて「二度と得難い好機」の意味もある。そのときしか手に入らない食材をその時季にふさわしく調理し、その日の客に供する――店の名には、そんな「一期一会の心を込めました」と主人の西塚茂光さんはいう。客が参加する余地を残した料理、客が食べてはじめて完成する料理、これが主人の理想だ。
複雑にいじくってインパクトの強い「はじめに料理ありき」みたいな姿勢には与しない。素材に敬意を込め、いわば食材と対話しながら、シンプルな調理を心がける。穏やかにお腹を温め、心をふくらませる料理は、どこか普段着の家庭料理を思わせる。これこそが懐石の本流だろうか。茶室風のさりげないしつらえの店内もぬくぬく心地よい。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の魚料理」 JLogosID : 14071001 |