【東京五つ星の肉料理】牛肉料理 > 台東区
グリル 佐久良
【グリル さくら】

人も店も料理もあったかい

昭和42年に暖簾分けで開業し、同49年に本店の看板を継いでからも、冨樫正和・幸枝さん夫妻はずっと二人だけで店をつづけてきた。店は表通りを外れた静かな一角にあり、古風なガラス扉にもランプにも、磨かれたカウンターにも二人の歴史が息づいているようで、なんとも温かく好ましい。写真でご覧のとおり、料理まであったかそうなカオをしてるから不思議だ。
ビーフシチューやステーキは、やわらかさがほどよく匂いがいい、乾燥りんごを食べて育つ信州志賀高原産の林檎牛。ポークソテーやカツサンドなどの豚肉はヒレしか使わない。
ビーフシチューのバラ肉は噛むまでもなく口の中でとろけ、創業以来継ぎ足しのデミグラスソースが香ばしい。「隠れた名品」と自負する豚ヒレ一口カツは、40年間食べつづけている客さえいる。常連は2世代、3世代にわたり、一見客には口コミでやって来る外国人も多い。その店を「19歳の孫娘が継いでくれるっていうんです」と、二人はうれしそうに満面の笑み。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070852 |