【東京五つ星の肉料理】豚肉料理 > 中央区
小春軒
【こはるけん】

初代のやさしさを伝える味

築地精養軒のコック見習いから始めた創業者の小島種三郎さんは、元勲・山縣有朋の料理長などを経て、結婚を機に明治45年(1912)に独立。小島の「小」と新妻の名前「はる」を合わせて、店名を「小春軒」としたという。店内右手の壁にかかる「小春軒のれきし」に書かれた、心あったまるこんな話にふさわしく、店にはいつも常連客の笑顔が絶えない。
「気どらず美味く」のモットーどおりに創業時からの下町の味を守るのは、3代目当主の小島幹男さんと、4代目を継ぐ息子の祐二さん。看板のカツ丼は、二人が呼吸を合わせて作る。
3代目は割下にデミグラスソースをきかせたソースでまず野菜を、次にカツ(ひと口大6個が1人前)を煮る。ご飯にカツをのせ、その上に4代目が半熟の目玉焼きをのせるが、この焼き加減とのせるタイミングが難しい。首尾よくのっけたら、最後に野菜をのせてできあがり。初代の心根を伝えてか味はいかにもやさしく、心にしみる。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070822 |