【旬のうまい魚を知る本】 >
▼江戸前期までは人気なし

クロマグロは生後1年でおよそ60センチ、2年で90センチ前後まで成長する。そこまでの若魚を関東ではメジマグロ、あるいはメジと呼び、西日本ではヨコワという。メジはメジカの略で、目が鼻に近いからこの名がある。ヨコワの名は魚体に淡い横縞があるからだろう。
マグロの名は、目が黒いことから目黒(メグロ)、それがマグロに転じたとされる。体色が黒いから、また身が黒ずんでいるからともいわれ、語源の決定打はない。古くはシビといわれ、平安中期の漢和辞書『和名抄』では、鮪の字をシビノウオと訓ませている。江戸時代初期の『慶長見聞録』にも「しびは味ひ(味わい)よからずとて地下のものもくらはず」とある。今でも西日本ではシビと呼ぶ土地が多い。マグロの名は江戸中期から登場したと思われる。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070646 |