【旬のうまい魚を知る本】 >
▼身が詰まった秋が食べ頃

ハナサキガニは生きているときは紫がかった褐色で、見た目がいいとはいえない。ところが熱を加えるとあざやかな朱色に変わり、がぜん食欲がわいてくる。だからだろうか、ハナサキガニの多くは水揚げ後すぐにボイルにされ、それから流通する。
漁期は4月から10月。主に籠漁で漁獲される。春の漁は、産卵のため浅瀬にやってきたハナサキガニを、水深20メートル以下の岩礁地帯で獲る。この時期のハナサキガニは、岩の上に重なり合っていることさえあるらしい。「バケツを持っていって、それを拾ってくるんだ」と漁師から聞いたことがある。もっとも、この時期は脱皮期で身がやせている。ハナサキガニは、身が詰まった秋が食べ頃である。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070554 |