【旬のうまい魚を知る本】 >
▼漁師ご用達、肝の刺身

サメの食べ方にはことのほかうるさいぼくも、さすがにびっくりしたサメ料理がある。宮崎県日向市の美々津港に近い漁師民宿で、ご馳走になったサメの肝の刺身だ。宿の主でもある漁師と気分よく杯を傾けていると、台所へ立った彼がなにやらを盛った皿を自分用の肴として持ってきた。これがきれいな肌色のサメの肝だった。
うまそうなので、ぼくも酢味噌をたれに口に放りこんだ。とたんにむせ返るほど濃厚な味覚が口いっぱいに広がってきた。牛のレバー刺しなんか問題にならないほど、艶めかしいまでの美味。ぼくが遠慮なくパクパク食べるので、漁師があわてて「脂がきついからあまり食べないほうがいいよ」といい出したのがやけにおかしかったなあ。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070536 |