【旬のうまい魚を知る本】 >
▼角のないサザエは「丸腰サザエ」

サザエは本州中部以南の各沿岸に生息する。サザエの語源は古語の「ささ」(小さな)「え」(家)から転じたという説がある。昔の海女には海底の岩に付着している姿が、小さな家のように見えたのであろう。漢字で栄の字を当てたのは、角(突起)を持つ殻の様子がいかにも栄華に見えたからにちがいない。螺は巻き貝のことだ。
外海には角のあるサザエが多く見られるが、内湾や静かな海には角のないタイプも少なくない。荒海では角を岩にはさんで流されるのを防ぐが、内湾ではその必要がないからだとされる。土地によっては角のないサザエを「丸腰サザエ」と呼ぶ。角があっても、丸腰であっても味に変わりはない。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070261 |