【旬のうまい魚を知る本】 >
▼漁師の手をかじるからテックイの名もある

一見するとおとなしそうだが、じつはいたって獰猛な魚といってよい。砂地に身を隠して近寄ってきたカタクチイワシをひと呑みにする。これをヒラメの「居食い」という。下北半島(青森県)や北海道でヒラメをテックイと呼ぶのは、釣り上げられたヒラメがよく漁師の手をかじることによる。荒々しいだけでなく細心でもある。釣人たちのあいだで言い古された教訓「ヒラメ40」は、最初の小さなアタリがあってから、40かぞえてから合わせろという意味である。エサをくわえても一気に呑み込まず、じっと様子をうかがっている疑い深い魚なのだ。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070200 |