【旬のうまい魚を知る本】 >
▼ハモの骨切りができたら一人前の料理人

京都の夏をいろどる祇園祭は別名「鱧祭り」。その頃のハモがもっとも美味で、古都の人たちがハモ料理をことのほか好むからである。
ハモは京都や大阪ではよく食べられているのに、関東ではあまりお目にかかれない。その理由として水揚げが少ないことと、淡泊な味が関東ではあまり好まれないことをあげる人が多い。それだけではなく、ハモの骨切りのウデを持つ料理人が少ないことも一因ではないだろうか。ハモには無数の小骨があり、これが歯にあたらなくするための骨切りが料理の下ごしらえには不可欠だ。三枚におろした身の皮目を下にしてまな板におき、包丁を直角にあて、幅3センチの身に皮を残して20数個の切り目を入れる。これがむずかしく、料理人のあいだでは「ハモの骨切りができたら一人前」といわれるほどなのである。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070136 |